悪魔契約の作法について。。

悪魔と契約するときには、素人なりの作法がある。
まず、質問を省略してはいけない。

「Aか?」と聞いたなら、返事は
「そうだ、Aだ」か、「いや、Aではない」
のどちらかにさせる。

「そうだ」
「場合による」
「それはAの定義による」
「君の言うAが何を指すかによる」

こういう返事を許してはいけない。

悪魔というのは、別に嘘をつくわけじゃありません。

むしろ、自分が言ったことについては律儀に守ってくれます、契約は必ず履行してくれるのです。その代わり、こちらが何を聞いたのかを曖昧にしたまま答えると、こちらの想定していなかった意味で答えられる場合があるだけで。

自分の想定していたコスト以上のものを払わされても文句が言えない状況を作り出す訳です。

たとえば、「この契約を結べば、私は金持ちになれるか?」と聞いてみます。

悪魔が、「なれる」と答えた。

ただし、これだけで契約してはいけない。

「この契約を結んだ結果、私は、自分が望んでいる意味で金持ちになるのか?」

と聞き直す。

それでも「なる」と言うなら、さらに「いつまでに?」「いくら?」「どのような状態を金持ちとする?」と詰めていく。なぜそこまでやるのか。

悪魔は契約を破れないからだ。こちらが勝手に「こういう意味だろう」と思っているだけで、悪魔が同じ意味で言葉を使っている保証はない。

だから、質問の条件を一つでも落としてはいけない。これは悪魔に限った話ではありません。

人間同士でも、「OKボタン押したら消せるの?」と聞かれて、

「消せます」と答えれば、相手からすれば「いや、何を聞いているのか分かってる?」となる。「OKボタンを押したら削除できます」まで言わなければ、質問に答えたことにならない場合がある。

質問には、それ自体が条件を持っているからだ。「AしたらBになるの?」と聞かれているなら、「Bになります」ではなく、「AしたらBになります」と返す。

悪魔との契約では、これをもっと徹底する。相手が何を言ったかではなく、自分が何を質問したのかを毎回固定する。

そして相手には、その質問にだけ答えさせる。これはたぶん、悪魔と話すための最低限の知恵になります。弁護士との会話と一緒ですね。

何しろ相手は、こちらの言葉を一字一句覚えているくせに、こちらと同じ意味で理解しているとは限らず、歪める余地があるなら、歪めるからです。

「Aか?」と聞いたら、「Aだ」か「Aではない」だけを要求する。悪魔との契約で一番危険なのは、悪魔が嘘をついてくることではなくて、こちらが、何を約束したのか分からなくなることであり、その結果として、自分の望む過程を通らず、自分の手元にやってくることにあります。

ちいかわのシーサーみたいにね。

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